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BPTrends ポール・ハーモンによる「2012年のBPM」の分析

米国のBPMコミュニティ誌、BPTrendsは、2012年1月10日付のEメール・アドバイザー第10巻1号でポール・ハーモン(Paul Harmon)とセリア・ウォルフ(Celia Wolf)の共著で“The Coming Year(「2012のBPM」の原文)”を配信した。

同記事の日本語訳を日本BPM協会の高木克文氏からご提供頂いたので、5つの論点に分割し紹介したい。

BPTrendsは、永年にわたりBPMの動向を調査・分析しており、同記事では過去1年のBPM市場の変化が簡潔にまとめられている。この変化傾向は、日本BPM協会メンバー間でも予見していた事項で、同レポートを読んで「やはり..海外でも..」といった感想である。

 

BPMは”IT活動”ではなく”ビジネス・マネジメント活動”との認識が広まった

「BPMは、BPR、リーン、シックス・シグマにとどまらず、ビジネス・ルール、ERP、およびITプロセス活動を融合しマネージするビジネス・マネジメント活動である」という認識。

2008年に始まったアメリカの経済危機が他の国に波及し、国や地域ごとにさまざまの結果をもたらした。オーストラリアを始めとするいくつかの地域は比較的影響を受けずに済んだが、ヨーロッパその他の地域では、相当な苦難を経験した。
アメリカは緩やかな回復過程にあると見られ、たいていの人が、2012年は2011年よりも良くなると期待している。確かに2011年は、2010年よりも良くなった。
ビジネス・プロセス市場の成長に関し、おおざっぱに言えば、プロセス志向を強調する企業が従来よりも多くなった。そして、その大半が、パフォマンス向上とコスト低減という目的の下に、プロセス改革の方法論とテクノロジーに注目している。
また、数年前にはかなり支配的位置を占めていたシックス・シグマの、リーンとBPMへの移行があった。
リーンへの傾倒は、リーンは比較的短期間内に効率向上の目標を達成するのに適したアプローチだという見方から生じた。
プロセスは組織の中央でマネージされるべきであり、パフォマンスを向上・維持するためには、プロセス改革のさまざまなアプローチの、より適切なコーディネーションとマネジメントを必要とする。BPM重視の背後には、このような見方がある。
BPMをひとつのIT活動としてとらえる向きがある。しかし、BPMはビジネス・マネジメント活動である、という認識がますます広まってきた。BPR、リーン、シックス・シグマにとどまらず、ビジネス・ルール、ERP、およびITプロセス活動を融合しマネージするビジネス・マネジメント活動である。

プロセス改革アプローチを強調するプロフェッショナルの堅実な需要

ビジネスへの成果に貢献できる人材への需要が高まる。

多くの企業では、コスト低減のために従業員のレイオフに踏み切った。
だが、個人プロフェッショナルに関して言えば、幅広い観点でプロセス改革にアプローチし、組織パフォマンスの向上を強調してきた人が、新しいポジションを見つけるのに困ることは、ほとんどなかったようだ。一方、比較的限定的な視野で、自分をシックス・シグマやビジネス・ルールやBPMSのスペシャリストとして考えてきた人は、自分の位置づけを変える上で、かなりの困難に直面してきた。
柔軟性が高く、総合的アプローチを強調し、個々のテクニックよりも成果を重視する人に対する需要が、ますます高まっているのだ。

プロセス・モデリングの企業内浸透と組織パフォマンス向上の多様なテクニック論

ユーザー企業が自らプロセス可視化を推進する趨勢。「BPMSソフトウエア・ツールの導入だけではBPMは推進できない」という認識の広がり。

2005年のBPトレンズ市場調査では、自社でプロセス・モデリングを行っているという回答は50%以下であった。それが2011年の調査では、75%を上回った。かなりの増加である。同時に、2011年調査では、75%をはるかに超える回答者がBPMNに高い関心を持っていると答えた。数多くの異なるプロセス・フロー表記法が存在した時代から、より良いプロセス・モデルの全社的共有を可能にするツールとテクニックの標準化に、各社がますます積極的に取り組む時代に移行したのだ。
それと似た動きが、他にもある。2~3年前の我々の調査では、多少あいまいな区分ではあるが、自らをプロセス改革推進者(プロセス・プラクティショナー)と自認するグループからの回答を多く得ることを意図した。今も彼らは存在する。しかし今日では、かなり多くの推進者が、自身をビジネス・アナリストあるいはビジネス・アーキテクトとして位置づけるようになった。
また、BPMを取り込み始めるリーン/シックス・シグマ推進者が増加する一方、ビジネス・ルール推進者もプロセス改革活動に積極的に参画するようになった。
突きつめて言えば、広範なプロセス・コミュニティ形成が、緩やかではあるが確実に進んでいる。特定のテクニックにこだわるのではなく、組織パフォマンスの向上に最適であれば、どのようなテクニックでも用いる指向の強いコミュニティである。
さらに、BPMをBPMSソフトウエア・ツールと同一視する人も依然として存在する。しかし、BPMはBPMSソフトウエア市場よりもはるかに広範な分野であるという認識は広がってきている。

BPMS市場の変化

まだまだ続く業界再編成。

BPMS市場における整理統合は、2011年にも継続した。少なくとも5件の大型買収が行われた。
● 2011年12月 Kofax(スキャナー技術)がSingularity(BPMS)を買収。
● 2011年12月 Progress Software(ソフトウエア・ツール)がCorticon(ビジネスルール)を買収。
● 2011年8月 TIBCO(BPMS)がNimbus(ビジネス・プロセス・モデリング)を買収。
● 2011年7月 OpenText(ドキュメンテーション/BPMS)がGlobal360(BPMS)を買収。
● 2011年2月 OpenText(ドキュメンテーション)がMetastorm(ワークフロー)を買収。
同時に、さまざまのBPMSベンダーがBPMS製品の発売を発表した。BPMSソフトウエア・ツールあるいはプラットフォームはさらに複雑さを増し、IBM、SoftwareAGといったベンダーが提示する精巧なツールには、さまざまの異なるテクノロジーが組み込まれている。他の一般ベンダーは、まだそれらのテクノロジーを統合するために格闘中である。

プロセスの分析と設計を職務とするグループは、プロセス自動化を職務とするグループとは異なる。これは、我々が2011年のBPトレンズ・プロセス・モデリング調査で得た重要な認識の1つであった。
これは、現在のものとは異なる、ある種のソフトエア・ツールが必要であることを示唆している。それには、プロセスのビジネスに関わる側面を重視するビジネス・ユーザーをサポートするツールと、新プロセス設計の具体的要素の自動化に重点を置くソフトウエア開発者をサポートするツールがある。 これは市場の変化を表すものであり、より使いやすいツールを提供する新しいベンダーの参入を促す大きな要因のひとつである。一方、既存の主要ソフトウエア・ベンダーは、さまざまのツールを取得し、ソフトウエア開発者を標的にする、より複雑なツールに集中する傾向を強めている。

BPMへの国際的な関心の高まり

日本はまったく「蚊帳の外」。

数年前は、プロセスに関連するカンファレンスの主眼はBPMとBPMSに置かれていた。それが2011年の主要BPM関連カンファレンスでは、大きな変化が見られた。例えば、6月に行われたIRMUKロンドン・カンファレンスのテーマは、BPMとエンタプライズ・アーキテクチャの組み合わせであった。また、フォート・ローダーデールで行われたビジネス・ケイパビリティ構築カンファレンスのそれは、ビジネス・アナリシスとビジネス・ルールとビジネス・プロセス・チェンジの組み合わせであった。
同時に、大学の学科としてのBPMが成長し続けており、数年前には見られなかった研究基盤とBPMプロフェッショナルの供給源を提供する場となっている。国際BPMカンファレンスは学界BPM研究者の主要な会合であるが、今年はヨーロッパ(9月、エストニアのタリンで)、さらに2013年には中国・北京で開催される予定だ。これは、BPMが国際的関心の対象になったことを示している。

2005年にBPトレンズが行った第1回BPM市場調査では、北米とヨーロッパ以外の地域の回答者数は25%以下であった。2011年のBPMモデリング調査では、それが33%を超えた。著しい増加を見せた地域は、オーストラリア、南米、および中東であった。2013年までには、その比率がさらに上昇し、インドや中国からもかなりの回答を得るようになることが、十分に予測される。
営利組織はもちろん、非営利組織および行政機関をも含む世界中のあらゆる組織が、プロセス改善活動を整備するための手段として、BPMに着目している。そして、それらの改善が垂直的にも水平的にも組織全体で実施かつマネージされ、なるべく早期に完了されることを、グローバル競争が求めていることを認識している。
BPM活動が2012年に劇的な成長を見せる、などと言おうとしているのではない。国や産業によっては、そのような現象が見られるであろう。しかし、すばらしい年になると確信的に予測するには、世界経済は依然として脆弱すぎる。しかし、少なくとも良い年にはなるであろう。
諸組織の関心はさらに高まり、プロセス改革推進者は、幅広く受け入れられる、より総合的なアプローチを開発するであろう。BPMに携わる人たちは、これまでには見られなかった成功を手にする。
そして、その勢いが増すにつれ、さまざまの異なる視点を持つ、より多くの人たちが集まり協働する動きが広がるであろう。プロセスを、業務を整備するためのより効率的かつ効果的な方法とする…BPMを、そのように用いる組織を支援するために。

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  1. 2012年2月18日17:09

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