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Archive for 2012年2月

日本BPM協会、BPM推進フレームワークを改訂

2012年2月18日 1件のコメント

日本BPM協会は、2月17日付で「日本BPM協会が新・推進フレームワークを開発」のニュース・リリースを発表した。同協会は過去に開発したBPM推進フレームワークの改訂を進めていたが、来る「第7回BPMフォーラム2012」のBPM協会特別セッション(A4)で改訂概要を公表する予定だ。 本稿では、その骨子を紹介したい。

BPM推進フレームワークは、BPM活動を推進する企業、および企業を外部からバックアップするIT事業者に向けた「BPMによるビジネスプロセス改革の進め方のガイド」である。フレームワークの初版は、私がリーダーを務める「BPMコモンセンス部会」ワーキンググループが2007年に開発したもので、これまで同協会のBPM関連セミナーの基本教材として活用してきた。しかし、このフレームワークはBPMの真髄を十分反映しているとは言いがたく、「プロセスをどのように開発するか?」というプロセス供給者の側面に力点が置かれ、「プロセスをどのようにマネージし、現場はどのようにBPMを利活用するのか?」というプロセス管理者、利用者の側面が軽薄であったことは否めなかった。その後、BPM概念の導入の真価をについて毎月1回から2回のペースで継続的に討議を重ね、ようやく部会メンバー全員が確信が持てる改訂内容に収束し今日に至っている。初版開発から5年を経過したが、その間、BPMに関する市場の認識やテクノロジーも大きく変化した。先般、本ブログで紹介した”ポールハーモンの「2012年のBPM」の分析”に示された海外動向でも「BPMは”IT活動”ではなく”ビジネス・マネジメント活動”との認識が高まった」とレポートされている。同部会は、まさにこの「BPMは”ビジネス・マネジメント活動”」のキーワードを改訂の柱に据え論議してきたのだった。

BPMを推進する3つの環

新フレームワークは、次のビジネス・プロセス基本原理に基づいている。

  • 日々の仕事の成果はその実行(オペレーション)によって生まれる。
  • この成果を生むために仕事の手順や役割分担、道具の活用範囲などを決めたものがビジネス・プロセスである。
  • ビジネス・プロセスは企業のビジネスモデルを実行する事業戦略に基づいて決めるべきもので、プロセスのオペレーションに対し成果目標を持たなければならない。
  • プロセスのオペレーションは、成果目標の障害を速やかに取り除くコントロール機構があってこそ良い成果を生む。
  • ビジネス・プロセスは事業戦略の観点から見直され、戦略変更が生じても機敏に変更可能なものでなければならない。

ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)は、この基本原理を持続可能にするためのビジネス・マネジメント活動であり、企業内におかれた次の3つの活動領域がそれぞれ相互に連動しながら、持続的に推進される。

  • PC:Process Change :プロセス改革推進
    • ビジネスの変化に合わせて、プロセス改革目標の設定と実行を企画し、その後の達成度を評価をする活動
    • 推進者:業務の改革グループ
  • PD:Process Development:プロセス開発
    • 目標達成可能なプロセスを設計しオペレーションを可能にする活動
    • 推進者:業務の分析・設計グループ と業務の自動化グループ
  • PO:Process Operation:プロセス・オペレーション
    • プロセスをオペレーションし成果を上げつつ、障害を取り除く改善活動
    • 推進者:業務の運用グループ

BPMを推進するキー

それぞれの活動で重要な推進力は次の3つであり、図1にその概念図を示す。

  • 戦略計画
  • BPM/SOAテクノロジー
  • 現場力

図1. BPM推進キー

BPM推進キー

BPMを推進するステップと流れ

PC、PD、POの3つのサイクル内の具体的な活動は、さらに次の11のステップに区分して構成している。

  1. P-1:改革テーマの抽出
  2. P-2:BPMプログラムの組織化
  3. P-3:成果目標の設定
  4. ステップ1:プロジェクト計画
  5. ステップ2:現状分析
  6. ステップ3:再設計
  7. ステップ4:実装と配備
  8. ステップ5:適用
  9. ステップ6:最適化
  10. ステップ7:実績の評価
  11. ステップ8:BPMプログラムの再構成

P-1~P-3は、BPMを導入する初期ステップに位置づけており、初めてBPMに取組む場合にのみ必要になる。導入初期ステップを完了した企業は、ステップ1~8を継続して実施することになる。

図2. BPM推進ステップと流れ

BPM推進ステップ

PC、PD、POの3つのサイクルの活動は、それぞれBPMを推進する3つの独立プロセスと見なすことができる。BPMN2.0表記を使ってこの活動ステップの流れを分かりやすく表現したのが図3の「BPM推進プロセス概要図」だ。

中央の「PD:プロセス開発」は、3ヶ月~6ヶ月の短期プロジェクトで推進されるが、「PO:プロセスオペレーション」は、事業が存続する限り、そのオペレーション(業務問題の摘出と問題是正アクション)が永続的に遂行される。

図3. BPM推進プロセス概要図

BPM推進プロセスフロー

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BPTrends ポール・ハーモンによる「2012年のBPM」の分析

2012年2月9日 1件のコメント

米国のBPMコミュニティ誌、BPTrendsは、2012年1月10日付のEメール・アドバイザー第10巻1号でポール・ハーモン(Paul Harmon)とセリア・ウォルフ(Celia Wolf)の共著で“The Coming Year(「2012のBPM」の原文)”を配信した。

同記事の日本語訳を日本BPM協会の高木克文氏からご提供頂いたので、5つの論点に分割し紹介したい。

BPTrendsは、永年にわたりBPMの動向を調査・分析しており、同記事では過去1年のBPM市場の変化が簡潔にまとめられている。この変化傾向は、日本BPM協会メンバー間でも予見していた事項で、同レポートを読んで「やはり..海外でも..」といった感想である。

 

BPMは”IT活動”ではなく”ビジネス・マネジメント活動”との認識が広まった

「BPMは、BPR、リーン、シックス・シグマにとどまらず、ビジネス・ルール、ERP、およびITプロセス活動を融合しマネージするビジネス・マネジメント活動である」という認識。

2008年に始まったアメリカの経済危機が他の国に波及し、国や地域ごとにさまざまの結果をもたらした。オーストラリアを始めとするいくつかの地域は比較的影響を受けずに済んだが、ヨーロッパその他の地域では、相当な苦難を経験した。
アメリカは緩やかな回復過程にあると見られ、たいていの人が、2012年は2011年よりも良くなると期待している。確かに2011年は、2010年よりも良くなった。
ビジネス・プロセス市場の成長に関し、おおざっぱに言えば、プロセス志向を強調する企業が従来よりも多くなった。そして、その大半が、パフォマンス向上とコスト低減という目的の下に、プロセス改革の方法論とテクノロジーに注目している。
また、数年前にはかなり支配的位置を占めていたシックス・シグマの、リーンとBPMへの移行があった。
リーンへの傾倒は、リーンは比較的短期間内に効率向上の目標を達成するのに適したアプローチだという見方から生じた。
プロセスは組織の中央でマネージされるべきであり、パフォマンスを向上・維持するためには、プロセス改革のさまざまなアプローチの、より適切なコーディネーションとマネジメントを必要とする。BPM重視の背後には、このような見方がある。
BPMをひとつのIT活動としてとらえる向きがある。しかし、BPMはビジネス・マネジメント活動である、という認識がますます広まってきた。BPR、リーン、シックス・シグマにとどまらず、ビジネス・ルール、ERP、およびITプロセス活動を融合しマネージするビジネス・マネジメント活動である。

プロセス改革アプローチを強調するプロフェッショナルの堅実な需要

ビジネスへの成果に貢献できる人材への需要が高まる。

多くの企業では、コスト低減のために従業員のレイオフに踏み切った。
だが、個人プロフェッショナルに関して言えば、幅広い観点でプロセス改革にアプローチし、組織パフォマンスの向上を強調してきた人が、新しいポジションを見つけるのに困ることは、ほとんどなかったようだ。一方、比較的限定的な視野で、自分をシックス・シグマやビジネス・ルールやBPMSのスペシャリストとして考えてきた人は、自分の位置づけを変える上で、かなりの困難に直面してきた。
柔軟性が高く、総合的アプローチを強調し、個々のテクニックよりも成果を重視する人に対する需要が、ますます高まっているのだ。

プロセス・モデリングの企業内浸透と組織パフォマンス向上の多様なテクニック論

ユーザー企業が自らプロセス可視化を推進する趨勢。「BPMSソフトウエア・ツールの導入だけではBPMは推進できない」という認識の広がり。

2005年のBPトレンズ市場調査では、自社でプロセス・モデリングを行っているという回答は50%以下であった。それが2011年の調査では、75%を上回った。かなりの増加である。同時に、2011年調査では、75%をはるかに超える回答者がBPMNに高い関心を持っていると答えた。数多くの異なるプロセス・フロー表記法が存在した時代から、より良いプロセス・モデルの全社的共有を可能にするツールとテクニックの標準化に、各社がますます積極的に取り組む時代に移行したのだ。
それと似た動きが、他にもある。2~3年前の我々の調査では、多少あいまいな区分ではあるが、自らをプロセス改革推進者(プロセス・プラクティショナー)と自認するグループからの回答を多く得ることを意図した。今も彼らは存在する。しかし今日では、かなり多くの推進者が、自身をビジネス・アナリストあるいはビジネス・アーキテクトとして位置づけるようになった。
また、BPMを取り込み始めるリーン/シックス・シグマ推進者が増加する一方、ビジネス・ルール推進者もプロセス改革活動に積極的に参画するようになった。
突きつめて言えば、広範なプロセス・コミュニティ形成が、緩やかではあるが確実に進んでいる。特定のテクニックにこだわるのではなく、組織パフォマンスの向上に最適であれば、どのようなテクニックでも用いる指向の強いコミュニティである。
さらに、BPMをBPMSソフトウエア・ツールと同一視する人も依然として存在する。しかし、BPMはBPMSソフトウエア市場よりもはるかに広範な分野であるという認識は広がってきている。

BPMS市場の変化

まだまだ続く業界再編成。

BPMS市場における整理統合は、2011年にも継続した。少なくとも5件の大型買収が行われた。
● 2011年12月 Kofax(スキャナー技術)がSingularity(BPMS)を買収。
● 2011年12月 Progress Software(ソフトウエア・ツール)がCorticon(ビジネスルール)を買収。
● 2011年8月 TIBCO(BPMS)がNimbus(ビジネス・プロセス・モデリング)を買収。
● 2011年7月 OpenText(ドキュメンテーション/BPMS)がGlobal360(BPMS)を買収。
● 2011年2月 OpenText(ドキュメンテーション)がMetastorm(ワークフロー)を買収。
同時に、さまざまのBPMSベンダーがBPMS製品の発売を発表した。BPMSソフトウエア・ツールあるいはプラットフォームはさらに複雑さを増し、IBM、SoftwareAGといったベンダーが提示する精巧なツールには、さまざまの異なるテクノロジーが組み込まれている。他の一般ベンダーは、まだそれらのテクノロジーを統合するために格闘中である。

プロセスの分析と設計を職務とするグループは、プロセス自動化を職務とするグループとは異なる。これは、我々が2011年のBPトレンズ・プロセス・モデリング調査で得た重要な認識の1つであった。
これは、現在のものとは異なる、ある種のソフトエア・ツールが必要であることを示唆している。それには、プロセスのビジネスに関わる側面を重視するビジネス・ユーザーをサポートするツールと、新プロセス設計の具体的要素の自動化に重点を置くソフトウエア開発者をサポートするツールがある。 これは市場の変化を表すものであり、より使いやすいツールを提供する新しいベンダーの参入を促す大きな要因のひとつである。一方、既存の主要ソフトウエア・ベンダーは、さまざまのツールを取得し、ソフトウエア開発者を標的にする、より複雑なツールに集中する傾向を強めている。

BPMへの国際的な関心の高まり

日本はまったく「蚊帳の外」。

数年前は、プロセスに関連するカンファレンスの主眼はBPMとBPMSに置かれていた。それが2011年の主要BPM関連カンファレンスでは、大きな変化が見られた。例えば、6月に行われたIRMUKロンドン・カンファレンスのテーマは、BPMとエンタプライズ・アーキテクチャの組み合わせであった。また、フォート・ローダーデールで行われたビジネス・ケイパビリティ構築カンファレンスのそれは、ビジネス・アナリシスとビジネス・ルールとビジネス・プロセス・チェンジの組み合わせであった。
同時に、大学の学科としてのBPMが成長し続けており、数年前には見られなかった研究基盤とBPMプロフェッショナルの供給源を提供する場となっている。国際BPMカンファレンスは学界BPM研究者の主要な会合であるが、今年はヨーロッパ(9月、エストニアのタリンで)、さらに2013年には中国・北京で開催される予定だ。これは、BPMが国際的関心の対象になったことを示している。

2005年にBPトレンズが行った第1回BPM市場調査では、北米とヨーロッパ以外の地域の回答者数は25%以下であった。2011年のBPMモデリング調査では、それが33%を超えた。著しい増加を見せた地域は、オーストラリア、南米、および中東であった。2013年までには、その比率がさらに上昇し、インドや中国からもかなりの回答を得るようになることが、十分に予測される。
営利組織はもちろん、非営利組織および行政機関をも含む世界中のあらゆる組織が、プロセス改善活動を整備するための手段として、BPMに着目している。そして、それらの改善が垂直的にも水平的にも組織全体で実施かつマネージされ、なるべく早期に完了されることを、グローバル競争が求めていることを認識している。
BPM活動が2012年に劇的な成長を見せる、などと言おうとしているのではない。国や産業によっては、そのような現象が見られるであろう。しかし、すばらしい年になると確信的に予測するには、世界経済は依然として脆弱すぎる。しかし、少なくとも良い年にはなるであろう。
諸組織の関心はさらに高まり、プロセス改革推進者は、幅広く受け入れられる、より総合的なアプローチを開発するであろう。BPMに携わる人たちは、これまでには見られなかった成功を手にする。
そして、その勢いが増すにつれ、さまざまの異なる視点を持つ、より多くの人たちが集まり協働する動きが広がるであろう。プロセスを、業務を整備するためのより効率的かつ効果的な方法とする…BPMを、そのように用いる組織を支援するために。

日本BPM協会、3月6日にBPMフォーラム2012を開催

2012年2月6日 コメントをどうぞ

日本BPM協会主催の「BPMフォーラム 2012」が本年3月6日に目黒雅叙園で開催される。ビジネス・プロセス・マネージメントに関する国内イベントが減少するなか、同イベントは7年目を迎えた。

第7回BPMフォーラム2012 開催プログラム( http://www.bpm-j.org/news/release/#000803

今回のフォーラム・プロクラムの内容をみると①発表者がプロセス改革実践事例を持つユーザー企業とBPMテクノロジーを提供する製品ベンダーに2局化し、その間をつなぐBPMソリューション・プロバイダーの姿がみられなくなった、②製品ベンダーでは、ビジネスルール・マネージメントの重要性を唱えるペガシステムとフェア・アイザックが新しい顔ぶれになっているなど、協賛企業がこれまでと変化している。

①については、SI事業者がこれまでのIT活動の延長線でBPMを語り、ユーザー企業のプロセス改革に踏み込めない現状では、この変化は当然の結果かも知れない。②については、ビジネスルール・マネージメントがビジネス・プロセス・マネージメント活動に融合される方向を示している。

米国プログレス・ソフトウェアがビジネスルール専門ベンダーCorticonを買収

2012年2月3日 コメントをどうぞ

米国プログレス・ソフトウェアが”ビジネスルール・ベンダーのCorticonを買収”とのニュースリリースが2011年12月5日に発表された。これは、2010年1月に発表したBPMベンダーSavvionの買収に継ぐものである。これらの買収によってプログレス・ソフトウェアは、SOA、ヒューマンセントリックBPM、ビジネスルールの3つのテクノロジー分野をラインナップさせ、IBMやOracleなどのメジャーな「SOA/BPMソリューション」製品に対抗するようだ。

ビジネス・ルールのトップベンダーCorticon社を買収:
http://www.progress-japan.co.jp/news/2011/1205.html

 

2008年から今日までに、ILOGはIBMに、YASUはSAPに、HaleyはOracleに買収され自社SOA/BPM製品に組み込まれてきた。残るビジネスルール大手専門ベンダーは、フェア・アイザック1社のみになっている。