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BPMN2.0をサポートしたオープンソース、Red Hat- jBPMとActiviti

2011年11月27日 コメントをどうぞ

先般、本ブログでBonita Open Solutionを紹介したが、そのほかRed Hat- jBPMとActivitiの2つのOSSもBPMN 2.0をサポートし始めたので紹介したい。

 

Red Hat- jBPM

JBossの最新コミュニティ・エディションのjBPM5は、BPMN 2.0をサポートした。JBoss Communityの11月17日記事、Executable BPMN 2.0では、JBoss 5.0がBPMN 2.0をサポートしているほか、BPMN-DI(XML)フォーマットによるモデル・インポート/エクスポートもサポートしているとの解説があった。プロセス・モデリングツールは、ビジネス・ユーザー向けのWebベースのデザイナーと開発者向けのEclipsベースのデザイナーに2分し、それぞれの利用者が使いやすいモデリング環境を用意し、ビジネス・ユーザーの分析・設計・要求仕様モデルと実装モデルを双方向(round-trip)にモデルを交換できるという。

 

Activiti

ActivitiもjBPMと同様にBPMN 2.0とBPMN-DI(XML)をサポートし、プロセス・モデリングツールはビジネス・ユーザー向けのActiviti Modelerと開発者向けのActiviti Designer(Eclips plugin)に2分したモデリング環境を用意している。この考え方はjBPMとまったく同じと考えられる。

 

Bruce Silverのブログによれば、「BPMN 2.0の実行可能モデル表記開発者であるIBM, Oracle, and SAP よりBonitaSoft, Activiti, jBPMなどのオープンソース・ツールの方が標準の実装に積極的である」とコメントしており、JBossとActivitiの2社は、先般のブログ「BPMNのモデリング・ステップとBPMN 2.0適合基準」の最後で述べた”ビジネスプロセス・モデリングは利用者層の目的に応じツールは分けるべき”という鉄則を良く理解しており好感が持てる。

 

2社にOEMされたドイツSIGNAVIO

Activiti、jBPMの2社のビジネス・ユーザー向けビジネスプロセス・モデリングツールは、以前紹介したドイツSIGNAVIOOEM機能である。同社のソリューションの一部がオープンソースとして提供しているらしく、このOEMの背景には同社のビジネスプロセス・モデリング・クラウドサービスに何らかのビジネス的メリットがあるものと推測する。

 

BPMN 2.0仕様の製品実装ラッシュ

OMGのBPMN 2.0仕様採択が本年1月に完了してから未だ11ヶ月しか経過していないが、ここ最近、BPMN 2.0サポートの製品ラッシュが続いている。しかも、BPMツールは高価だという既成概念を打ち壊すOSS陣営の勢いは、歓迎すべき市場動向である。

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IBMのBPMN 2.0サポート最新BPMソリューション

2011年11月25日 1件のコメント

IBMは、2009年12月にBPMベンダーの最大手であったLombardiの買収意向を表明した。それから1年、WebSphereとの製品統合が待たれていたが、BPMN 2.0をサポートするBPM(Business Process Manager) 7.5.1のリリースが間近なようだ。

現在、米国IBMはBPM製品の技術PRサイト、BPMwebDemos.comを立ち上げ、YouTubeによる製品デモとチュートリアル、並びに無償のオンライン体験学習を提供している。このサイトのYouTubeのコンテンツは圧巻で”BPMinAction”という投稿者名で17のデモとチュートリアルを公開している。

Lombardiの「Blueprint」(文書作成)および「Teamworks」(BPM実行エンジン)は既にIBMの「WebSphere」環境で動作していたため、買収後の製品移行は円滑に進むものと予想されていた。デモを見ると製品のルック&フィールは、過去のLombardiとほぼ同じであり、買収後は、下図右の実装設計側のProcess DesignerのBPMN 2.0サポートに力が注がれていたようだ。製品名称はBlueprint→BlueworksLive、Teamworks→Business Process Managerとなっている。また、ビジネスルール・エンジンには、2009年1月に買収したILOGが統合されている。

IBM BPM

Bruce Silver氏のBPMS Watchブログの11月15日の記事にも”IBM Delivers BPMN 2.0”のタイトルで紹介されていおり、BPMN 2.0のサポート範囲を考察している。詳しく分析していないが、Oracle BPM Suiteと比較するとOracleがシグナル・イベントを先んじてサポートしているほかは大差ない感じだ。

YouTubeのBPMinActionで”IBM BPM Overview and Demonstration”(14分のデモ)をご覧になれば、BlueworksLiveによるビジネスプロセスモデリング、Business Process ManagerのProcess Designerによるプロセス実装設計、およびプロセス実行後の最適化がどのようなものか理解できる。このほか、日本IBMでも”IBM Blueworks Live Japan”でBlueworksLiveのみ日本語で紹介している。

強力なProcess Optimizer

このIBM BPMツールで注目すべき機能は、プロセス実行結果をブロセス・フローと重ねたビューでプロセス管理者が最適化を検討できるユーザー・インターフェイスが提供されている点である。次の図をご覧頂きたい。

上図は、フローの経路別通過率(%)を表示している。これによってどの仕事の流れが一般的で、どの流れが例外的か判断できる。下図は、各タスクの平均待ち時間を表示している。これによって仕事の滞留を招いてる作業が判断できる。このように、モニタリングデータを統計グラフによらず、プロセス・フロー上に直接表示し、問題点を直視できる点が非常に優れている。これらはOracle BPM Suiteにはない機能だ。

IBM Path ModeIBM Wait Mode

IBMのBPMN 2.0サポート製品の登場によって、2012年は、いよいよBPMN 2.0ベースのBPM製品による市場競争が始まり、抜きつ抜かれつの”蛙飛びゲーム”になるようだ。来年はIBMが製品評価でBPMリーダの座を獲得するかも知れない。

BPMNのモデリング・ステップとBPMN 2.0適合基準

2011年11月23日 2件のコメント

本サイト訪問者のサーチ検索キーワードに”BPMN 2.0”が多いので今回は、2011年11月17日の投稿記事、「Bruce Silver氏のBPMN 2.0ブック第2版が日本でも入手可能に!」の末尾で紹介した「BPMNモデリング・ステップ」とOMGのBPMN 2.0仕様との関連性について、もう少し詳しく解説したい。

これまでのBPMN 1.xは、記述モデルと分析モデルの用途に主眼が置かれていた。一方、実行可能モデルの用途として見た場合は、図形要素や属性が不足しており、不完全だった。BPMN 2.0では、米IBMや独SAP、米OracleといったメジャーなBPMSベンダーが中心となって開発を進めたことにより、実行可能モデルの用途で使うための仕様強化が図られ、「ビジネスからITまでの広い範囲のモデリング要件をカバーする」という当初の開発目標は達成できた。しかしその反面、図形要素や属性の種類が多く複雑になったため、ビジネス・ユーザーにとってわかりやすいというBPMN本来の良さが失われる結果となった。この問題を解決するためにBPMN 2.0ベータ2で追加されたのが、仕様書2章のComformance(適合基準)だ。この概念は少々複雑なので図1に整理してみた。

図1. BPM製品のBPMN適合基準

適合基準(Conformance)は、BPM製品のBPMN 2.0仕様準拠レベルを定義している。当然、この基準作りには、ビジネス・プロセス・モデリングの一般的な方法論と「BPMNモデリング・ステップ」の考え方が配慮されている。 また、モデル駆動型開発で言うところのPIM(Platform Independent Model、プラットフォーム独立)とPSM(Platform Specific Model、プラットフォーム依存)の領域が明示されてる。図1左の「プロセス・モデリング適合」はプラットフォーム独立(PIM)を、右上の「プロセス実行適合」はプラットフォーム依存(PSM)を表している。図1右下の「コレオグラフィ・モデリング適合」は、BPMN 2.0から新たに追加された、プロセス間のメッセージ交換手順やルールを図で表記する基準である。この適合基準は、PIMの領域に限って規定している。プロセス・モデリング適合では、記述モデル、分析モデル、実行可能モデルの3つのステップで使用する図形要素と属性の範囲を、それぞれ、記述適合クラス、分析適合クラス、共通実行可能クラスの3つのクラスに対応させて規定している。
分析適合クラスは、記述適合クラスを包含し、共通実行可能クラスは、分析適合クラスを包含一部を包含(※読者のご指摘により変更しました)する。このように、スーパークラス/サブクラスの関係を明示して、モデルで定義する内容の詳細度を段階的に拡大している。 たとえば、”人の作業”と”システムの作業”を表すタスクの図形要素を図2に示す。モデリング・ステップが進むに連れ使用可能な図形が増えていく。このようにITの専門家でないビジネス・ユーザーでも限られた少数の図形でプロセス・フローの骨格を定義できるように利用者側へのガイドがBPMN仕様に盛り込まれている。

図2. モデリング・ステップとタスク詳細化の変遷

適合基準は、かなり厳しい基準で、”BPMN 2.0完全準拠のプロセス・モデリング・ツール”と呼べるのは、共通実行可能クラスで規定した図形要素と属性の範囲に加えて、コラボレーション図やカンバセーションズ図(BPMN 2.0から新たに追加された図表記)、そのほかの諸規定を100%満足した場合に限る、と規定されている。

BPMN 2.0適合基準を反映したビジネスプロセス・モデリングツールの実例

では、この適合基準がどのようにビジネスプロセス・モデリングツールの製品開発に反映しているか、実際の製品例を紹介する。
図3は、ITP Commerce Process Modeler 6 for Microsoft Visio  のBPMN 2.0ダイアグラム・モード選択時に表示されるオプションである。 モデリング・ステップに対応する適合基準を選択することで使用できる図形表記を制限し、モデル表記レベルの統一が可能になっている。これまでは、利用者のモデリングスキルや経験度合いによって使用図形がマチマチになりモデル表記のレベルが統一できないことがモデリング作業課題の点の1つであった。ツールがこの適合基準を導入したことによって、この課題の幾分か(全てではない)は解決できるようになっている。また、ITの専門家でないビジネス・ユーザーには、レベル1ないしレベル2の少数図形だけでプロセスを記述できる手軽さと基準を提供できるのである。

同製品は、BPMNトレーニングの実践者であるBruce Silver氏のフィードバックに基づいて改良がなされており、いち早く同基準を導入した好事例の製品である。

図3. モデリングツールのBPMN適合基準選択オプション

ITP_Comformance

プロセスモデルの多言語表記

図3の”Current diagram language”に示すとおり、グローバル企業が国を超えてビジネス・プロセスを標準化および統制管理できるよう1つのプロセスモデルを多言語で表現できる機能がモデリング・ツールに装備され始めている。この傾向は実行エンジン側のプロセス実行モデルでも同様で、Oracle BPM Suite 11gの最新リリースでも多言語翻訳機能が装備されている状況だ。

間違いやすいモデリングツール選択

SI事業者の中には、BPMツールベンダーが提供するビジネスプロセス・モデリングツール(プラットフォーム依存のプロセス実行モデル定義専用)で十分と主張する方々がいる。しかし、この主張はモデリングツールをプロセスモデル実装者側のIT視点でしか見ていないと私は考えている。下図4は実際のBPMプロジェクトで作成された分析モデリング段階の成果物の一例である。プロセスで取り扱う文書、データ、顧客や外部協力組織とのデータのやりとりなどが記述されていることに着目していただきたい。これらの記述はプロセスを流れるデータとアクティビティへの入出力相互関連を表していおり、プロセスを分析し改善設計をするうえで非常に重要な情報である。実は、実行エンジン側のプロセス実行モデルは、一般的に次の図形要素を表現しない。または、できないのである。

  1. 入出力データを表現するデータオブジェクト(図例の文書アイコンとその関連が失われる)
  2. 複数のプール(プロセス)とその相互関係(図例の”自部門”プールだけが対象となる)

これは、実行エンジンが1プロセスモデルあたり、単一プール(プロセス)を実装の対象としていることと、データオブジェクトとその関連情報は、図の背後に隠れた詳細仕様に記述するためだ。したがって、モデリングツールの選択にあたって、プロセスモデルの記述・分析ステップと実装設計のステップでは、同じBPMN表記図形を使うと言ってもプロセス実行モデルでは表現できない図形があることを理解しておく必要がある(図2の適合クラスに示すプロセス適合クラスのズレがその意味を表している)。また、ビジネスプロセス・モデリングの過程では、ビジネス・ユーザーをモデリング協働作業に誘いこむやさしい仕掛け(ファシリテーション)と頻繁な書き直し(ビジュアル・シンキング)が生じることを覚悟してツールを選択しておかなければならない。このため、プロセスモデル設計者用とプロセスモデル実装者用に分けてそれぞれの作業に適したツールを選択するのが一般的である。BPMN-DIやXPDLなどのモデル交換フォーマットが論議される背景には、このように設計(記述・分析)と実装との間にモデリング目的の違いがあることを理解しておくべきだ。

図4. 分析モデリング段階のプロセスモデル例

GoodEggSample

出典: “GoodEggしくみや” 山原雅人氏ご提供

Bruce Silver氏のBPMN 2.0ブック第2版が日本でも入手可能に!

2011年11月17日 3件のコメント

Bruce Silver氏の”BPMN Method and Style”第2版が本年11月1日に米国で一般販売が開始され、日本でも次のページから購入できる。

http://www.amazon.co.jp/Bpmn-Method-Style-Implementers-Guide/dp/0982368119/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1321484967&sr=8-2

以下に著者であるBrice Silver氏のメッセージを紹介する。

第2版について

初版はBPMN 2.0のベータ仕様を基に2009年6月に出版しました。新版は2010年8月に最終仕様となり、2011年1月にOMGによって公式採択された仕様に基づくものです。ベータ版と最終仕様版では図形表記は変わりませんが、メタモデル、XMLスキーマおよび仕様の”活用規則”に重要な変更点があり、新版はこれらを反映させています。

第1部の前半は、プロセス・モデラー(ビジネス・プロセス・アナリスト、ビジネス・アーキテクト、BPMプロジェクト・メンバーおよび開発者)を読者の中心に想定し、図形表記に焦点を当て、曖昧さがなく、完全で、一貫性のあるプロセス・ロジックをプロセス図に記述する原則(”Method and Style”)を解説しています。そして、2年間にわたる”BPMN Method and Style”の教育トレーニングの経験を反映し初版を全面的に書き直しています。

新版は、BPMフレームワークと同じ側面のエンタープライズ・アーキテクチャで同じように使われている例えば、“アクティビティ”と“プロセス” などの用語がBPMNのコンセプトでは、それぞれどのような対応関係になるかを解説しています。新版はBPMNツールでのモデルを検証する一連の規則を”ベストプラクティス”として解説した初版のBPMNスタイルを受け継いでおり、初版の3レベル・モデリング・アプローチを引き続き採用して、レベル1の伝統的なフローチャーティング技法でビジネス担当者が慣れ親しんている図形や記号による可視化基本作業、レベル2のイベント駆動の振る舞いをサポートする拡張セットに若干触れ、BPMN 2.0最終仕様の記述モデル(レベル1)と分析モデル(レベル2)のプロセスモデリング適合サブクラスに一致させるわずかなレベル調整事項を解説します。(なお、”Method and Style”で論議していたいくつかの側面は、結局BPMN 2.0の最終仕様で採用されました!)初版を購入された方でも、”Method and Style”セクションだけでも目新しい材料が十分にあり、新版を手にする価値があると思います。

第1部の後半は、BPMN実装者向けのガイドで新しいものです。主に開発者やツールベンダーを読者の中心に想定していますが、アナリストやアーキテクトにもメリットがあるでしょう。BPMN 2.0のメタモデルとXMLシリアライゼーション(異種ツール間のモデル交換のこと)を解説しています。最近登場した、いわゆるBPMN 2.0ベースのBPMSツールに関する私の考察は、いくつかのBPMNツールを理解するうえで役立つでしょう。BPMN実装者ガイドの最初の部分は、分析サブクラス(レベル2のパターン)の図形要素のみを使う非実行可能なモデルに焦点を当て、様々なXMLの要素と属性の意味と使用法について説明しています。異種ツール間のモデル交換を自動化するために重要なBPMN-Diagram Interchange(モデル交換)の概略、特にBPMNモデルが持つユニークなXML表現力および、それによってモデル交換を確実する一連の制約事項について説明しています。

第2部では、実行可能なBPMN 2.0モデル、データのマッピングと変換、サービスタスクやヒューマンタスクの割当てとその詳細について議論します。BPMN 2.0の要求仕様モデルと実際のBPM Suiteで実行可能なモデルを設計する関係を”Bonita Open Solution”のBPMツールの使用サンプルで例示を交えて説明します。最後は、”Method and Style”の使って実行可能なBPMN 2.0プロセス・モデルをBPMSに移植する実装者へのアドバイスで、この本を結んでいます。BPMN実装者ガイドは、あたかも分離した本のように見えますが、アイデアの多くは、”Method and Style”からの自然な流れであるため、それらを1冊の本にまとめることにしました。

この本は私のBPMNトレーニングの有益な参考書ですが、実際のトレーニングで”BPMN Method and Style”を実践的に学習することを推奨します。

Bruce Silver

岩田よりメッセージの補足

第2版は副題に”Implementer’s Guide”とあるように、第2版はプロセスモデル設計者向けである第1版をBPMN 2.0ベースにリニューアルし、さらにプロセスモデル実装者向けた実行可能モデルのモデリングガイドを追加したものである。本書により下図に示すプロセス設計者からプロセス実装者に至るBPMNのモデリングステップが一貫して理解できるだろう。下図のステップ分類は、BPMNの利用をガイドするフレームワークでBrice Silver氏が以前からOMGに提案していたもので、BPMN 2.0仕様書の冒頭にBPMN 2.0適合基準(Conformance)として採用され、ビジネスプロセスモデリング・ツールの用途別適合基準を規定している。

なお、レベル1およびレベル2の業務プロセス可視化/分析フェーズ(As-Is, To-Be)では、BPMN 1.xに準拠するビジネスプロセスモデリング・ツールで必要十分だ。但し、BPMツールで提供されているプロセス・デザイナは実行可能モデルの設計に焦点を当てており、分析時に重要な外部プロセスとのメッセージ交換や関連する入出力データが表記できないものが多く、レベル1およびレベル2の適用にはお薦めしない。

BPMNモデリングステップ

フランスBonitaSoft社のイケてるBPMオープンソース事業を紹介

2011年11月14日 6件のコメント

フランスのBonitaSoft社は、“Bonita Open Solution”という名称でプロセス・モデリングツール、BPMN実行エンジン、ユーザーインターフェイス開発などのBPM Suite一式をオープンソース(GNU General Public License v2)で提供している。

創業者は、BPMが将来企業ITポートフォリオの主力になると確信し、2009年にBonita Projectを立ち上げ、ソリューション開発に着手した経緯がある。社名、ソリューション名の双方にスペイン語、ポルトガル語のBonita(ボニータ:かわいい娘)を使って覚えやすくしている。

“Bonita Open Solution”は、無償のOpen Source Editionと有償提供のSubscription Packsがあり、Subscription Pack Editionを購入すれば、テクニカルサポートや拡張ツールセットが提供されるビジネスモデルになっている。有償であれば、本格的なBPMアプリケーションも開発、実行できるようだ。Subscription Packsは、Teamwork, Effiency, Performanceの3つのEditionから構成されている(それぞれのEditionの機能範囲はここ)。ハイクラスのEditionではSalesForce.comやSAPとのコネクタを開発できるウィザードも用意されている。

InfoWorldは本年9月8日、優れたオープンソースを4カテゴリから選ぶオープンソース賞「Best of Open Source Software(Bossies)」受賞プロジェクトを発表した。その中で同製品は「アプリケーション」カテゴリのビジネスプロセス管理ソフトウエアで受賞している。(http://sourceforge.jp/magazine/11/09/08/0356201

ユーザー事例には、コニカミノルタのフランス支社(従業員約1000名、カラー印刷機、ヨーロッパ売上290億円)の営業プロセス適用事例が紹介されている。同社は、70名の社員が従事している契約管理(月間あたり2000件の新規契約または更新)に適用し、請求書のデータ入力から販売シュミレーション、製品仕様構成の分析に至る日常業務を最適化したという。その他、約30社のユーザー事例が紹介されており、部門レベルの業務最適化に多く利用されているようだ。

開発向けのUIは、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、中国語に翻訳され、ユーザー向けのWebアプリケーションUIは、そのほか7ヶ国語が追加翻訳されている。この点、日本の立ち遅れが現れている。日本語翻訳のボランティアが現れてくれれば、日本国内中小企業にも廉価なBPMソリューションが提供できるだろう。

 

 

着目点

私が着目している機能は、BPMN 2.0の実行可能モデルを設計し、BPMN 2.0実行エンジンに実装できることだ。タイマーイベント、例外イベント、シグナルイベントなどを使ったイベント駆動プロセスを実行でき、先端を行くOracle BPMS 11gにも引けを取らず、もはやBPELは必要としていない。また、BPMN 2.0で新たに規定されたビジネスプロセス・モデル交換フォーマット(BPMN-DI: Diagram Interchange)を使ってサードパーティのBPMNモデリングツールとのモデル交換も実現している点だ。実際にBPMN 2.0をサポートしているビジネスプロセス・モデリング・ツールからBonita Studio 5.6へモデル移行を試みたが、何も手を加えることなく、オリジナル表現でプロセス図を移動できることを確認した。

 

使用感

ダウンロードしてWindows7で試してみたが、動作環境、サーバー設定の煩わしい作業は一切なく、ダウンロード後、添付のサンプル・アプリケーション・ソースを即、配備・実行できた。この快適な使用感には、すこぶる驚かされた。英語版での日本語処理は問題ないようだ。データを定義しながらSimple Web Forms Editorを使ってユーザーインターフェイス画面を生成できるので、上流で分析・設計したプロセスモデルをこのツールに移行し、サンプルデータを入出力しながらプロセスの流れを追ってデータの参照・確定手順をウオークスルーするプロトタイプ検証ツールには最適と考えている。この程度の利用なら無償でできることも魅力的だ。

IBM developerWorksでも昨年10月に2回連載で同製品のチュートリアルを丁寧な日本語訳で紹介している。
第 1 回 単純なワークフローを構成する
第 2 回 フォームと変数を構成する

 

BPMN 2.0ビジネスプロセス・モデル交換を試してみる

私が愛用しているProcess Modeler 6 for Microsoft Visio BPMN 2.0仕様サポート最新版でモデリングしたプロセス図(図1)をBPMN 2.0 XMLフォーマット(図2)で保存しテストする。

図1: テストに使用したBPMN 2.0仕様のサンプル・プロセス図

営業見積プロセス(詳細モデル→Bonita Studioへエクスポート)

図2: BPMN 2.0 XMLファイルのエクスポート

ITP_Export

Bonita Studioのインポート・メニュー(図3)を使ってBPMN 2.0 XMLファイルをインポートした。
BPMN未対応のモデリングツールからは、XPDL 1.0形式でインポートできるようだ。

図3: Bonita Studioのインポートメニュー

Bonita_Import

インポートした結果は、ご覧のとおり。何ら手を加えることなく、オリジナルプロセス図の外観が伝承される。
BPM実行エンジンでサポートできていないBPMN 2.0要素も一目瞭然で分かる。
BPMN 2.0のエクスポート機能はサポートしていないので、ラウンドトリップ・エンジニアリングは行えない。BPMNの設計プロセス実装を目的としているので上流から下流への単方向で十分だ。また、これは他のBPM実行エンジンへの乗り換え防止のロックでもある。

 

図4: インポートされたBPMNサンプル・プロセス図

営業見積プロセス(詳細モデル→Bonita Studioにインポート)

 

以前、本プログで紹介した「Oracle BPMのBPMN 2.0プロセスモデル交換の実力」と見比べていただければ、BPMN-DI(Diagram Interchange)ファイル形式のモデル交換の方が優れていることがご理解いただけると思う。これでビジネスプロセスのモデル交換はBPMN-DIが主流になることが実証されたといえる。

 

BonitaSoft社に関する市場調査レポート:

http://www.gii.co.jp/report/ov166528-bonitasoft.html

経産省がBPMNを採用した業務モデリングの調査研究を始めるらしい

2011年11月10日 1件のコメント

インターネット・サーチしていたら本年11月1日付で商務情報政策局情報政策課から

平成23年度「電子経済産業省推進費(業務最適化のための業務モデリングに関する調査研究)」に係る委託先の公募について

の公募情報を発見したので紹介したい。

公募要領の内容からこの調査研究目的を推察すると、今から8年前の平成15年に公表された「EA策定ガイドラインVer.1.1」で策定した政策・業務体系の業務プロセス可視化方法論に世界各国で標準になりつつある新しい業務モデリング手法であるBPMNを組み込むための検証を行うようだ。

EA策定ガイドラインの基準でこれまでに作成済みのDFD(データフローダイアグラム)および業務流れ図(Work Flow Architecture)は、かなり膨大にようだ。今回の調査研究では、これらの既存資料をBPMNプロセス図に書き改める工程を実験的に試行し、変換に伴う所要時間と工数の見積、課題抽出を行う。特に目を引く試みは、プロセス・シミュレーション(時間分析とコスト分析)の効果検証、およびBPMのプラットフォームを使用してサンプルデータを画面に入出力しながら入出力データを検証するウォークスルーの試行も盛り込まれている点である。

また、BPMNによるプロセス設計だけでなく、後工程でBPMのようなプラットフォームへ設計したプロセスを実装する場合の開発工程の区切り方、仕様への記載手法についても課題を整理するとしている。

この調査研究期間は、本年12月~来年3月としており、大きな成果が生まれることを期待したい。

業務プロセス標準表記BPMNを「武器」にITの投資の半減は可能か?

2011年11月8日 1件のコメント

先日、GoodEggしくみや、代表の山原雅人さんとお会いする機会があり、以下のセミナータイトルについて、ディスカッションした。
話題は、「IT投資が半減する」というキーワードだ。

IT投資半減を実現したプロセス改革実践事例
~業務プロセスの標準表記を「武器」にする!~
2011年11月29日(火)14時00分~17時00分(3時間)

山原さんとの一問一答:

Q1: 山原さん、「IT投資が半減する」と言い切ってしまっていいんですか?

A1:はい、自分自身で実践してみて確信を持っています。

Q2:具体的には?

A2:ビジネスプロセスで定義した要件以外のことは、SIerさんに要求しないことです。SIerさんは、「この要件だけでは、動かないでしょう。」と言って、あれやこれやと追加機能含めて提案してきました。当然、見積価格も膨らむ一方です。
しかし、私はこのプロセスは現場業務担当者と仕事の手順、段取りを一緒に考え、合意をとったものなので、「もし、プロセス要件に変更があれば、チェンジオーダー分をちゃんとお支払いします」と言って、プロセスに定義されたこと以外はやる必要はないと突っぱねました。

Q3: その結果は?

A3: チェンジオーダーは発生せず、SIerさんの当初の提案価格の半分にIT投資を抑えることができたのです。現場のユーザーとビジネスプロセスを一緒に考えることは苦労が伴いましたが、要件をしっかり固めてことがコスト低減のカナメと確信した次第です。

Q4: セミナーで伝えたいことは?

A4: 私の実践経験から情報システム部門の方々に現場業務担当者を巻き込むビジネスプロセス・モデリングのコツをお伝えしたいのです。

 

※詳細を知りたい方、疑問に思われる方は、是非セミナーにご参加ください。但しユーザー企業の情報システム部門の方々を対象にしています。

 

感想:

IT業界はそもそも、業務設計図なしにアプリケーション開発の請負契約が成立している未成熟でリスクの大きい産業である。山原さんの提言は、この問題を委託側の情報システム部門と受託側のSIerの両面から指摘している。これまでアプリケーション開発プロジェクトは、そもそもシステム要件の揺れがある前提でプロジェクト・マネージメントで問題を回避しようとしていた。プロジェクト・マネージメントは問題の是正(過度の残業、契約範囲の見直しと交渉)をリアクティブに図ることが主眼で(コスト・オーバーの抑制効果はあるが)根本的なコスト低減には貢献しない。システム要件のベースとなる業務設計図の開発に力を注ぐことは、プロアクティブな事前問題解消法であり、プロセス指向開発が「IT投資が半減する」と表現してもおかしくない。