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BPMN 2.0のプロセスモデル相互運用性のゆくえ

BPMN 2.0の開発では、異種ツール間でプロセスモデル交換できる交換フォーマットの標準化が成果目標のひとつであった。

しかし、この標準化が先送りされる状況らしい。その経緯と方向性について展望する。

瓦解したOMG BPDMによるモデル交換

OMGは、BPMN 2.0の開発表明にあたり下図に示すプロセスモデル交換法の実現を計画した。BPDM(Business Process Definition Metamodel)は、OMGがそれ以前から温めていたプロセスモデルのメタモデル標準化構想である。プロセス可視化標準であるBPMNとこのメタモデルの綿密な連携により、市場にあるさまざまなプロセス言語に変換できるというMDA構想の一環である。


BPDM

しかし、BPMN 2.0 策定チームの間では、BPDMは、あまりにもアカデミック過ぎ、複雑で、実用的でないとの評価が下り、この構想は実現していない。

BPMN 2.0での標準化は先送り

BPMN 2.0 策定チームは、プロセスモデル交換フォーマットの標準化については、当初のOMG BPDM提案を排除し、仕様書に記述されているBPMNメタモデルをXSDとXMIを基に交換する方法を考えた。この方法は、BPMN 2.0サポートツール間では簡易にモデル交換できるので支持された。

2008年12月25日のInfoQでのBPMN 2.0 バーチャル座談会では、BPMN 2.0の策定に参加したIBM, Oracle, SAPの意見が次のように述べられている。

Q.BPMN 2.0とXPDLの関係について教えてください。

(IBM, Dave Ings氏) XPDLはモデリング言語(一部BPMNと重なるところがあります)とプロセスモデルの交換フォーマットを定義しています。OMGが定義した交換フォーマットにはなかった、BPMN 1.1のサポートの強化がXPDL 2.0にはあります。上で述べたBPMN 2.0は特別な交換フォーマットを定義していますが、やがて業界はこれに向かって移行すると考えています。

(Oracle, Manoj Das氏) BPMN 1.1は永続化フォーマットを決めていなかったため、私たちのものを含め多くの製品はXPDLを永続化と交換フォーマットに使っていました。BPMN 2.0はネイティブの永続化および交換フォーマットを持つことになるため、私たちはXPDLを使うのをやめ、BPMN 2.0仕様のフォーマットを利用し、既存のBPMN1.1/XPDLの資産をBPMN 2.0に移行させるつもりです。他の皆さんも同様のアプローチを取ると予想しています。

(SAP, Ivana Trickovic氏) XPDLはワークフロープロセスのためのモデルと交換フォーマットを定義しています。これはまたBPMN 1.1プロセスのための交換フォーマットとして提案されています。BPMN 2.0はBPMNモデルのためのXMIベースとXSDベースの交換フォーマットを導入しており、将来的にはBPMN 1.1とBPMN 2.0のプロセス定義のどちらでも交換するのに使われるだろうと予想しています。

ところが、BPMN 2.0の開発に参画しているBruce Silverの2009年4月14日付けブログ、Five Things They Left Out of BPMN 2.0(BPMN 2.0から外された5項目)では、外された項目の3に「
Model portability」があり、「So don’t expect much portability when BPMN 2.0 tools first come out」と言っている。確かに最新のBPMN 2.0仕様ドラフトには、XSDとXMIを基にした交換フォーマットに関する詳細仕様が抜けており、フォーマットの規格化は将来バージョンに先送りされるようだ。

XPDLによる新たな取り組み

Sandy Kemsley の5月19日付けブログにRobert Shapiro on BPMN 2.0 と題し、WfMCのXPDL 2.2開発計画が紹介されていた。本年後半から来年にかけてBPMN 2.0に対応するXPDLの新仕様をリリースするらしい。これが実現すれば、XPDLは今後1~2年もプロセスモデル交換フォーマットの最右翼となるだろう。


XPDL Timeline
 

標準化の意義

映像関係の標準であるビデオテープ、DVD、ブルーレイの規格標準化は、映像コンテンツを様々な異なるメーカーのプラットフォームで再生、記録を可能し、映像コンテンツの制作、流通が盛んになった。これは、標準化効果の良い例である。ビジネスプロセスモデルの世界でも標準化に対する期待は同様である。BPMNでプロセスを可視化しておけば、異なるメーカーのITプラットフォームで再設計と実行が容易になり、ビジネスプロセスモデルの流通も盛んになるものと予想される。ITベンダー主導での標準化活動では、「Model portability」、「Business Process Interoperability」の標準化に関しては、それぞれの思惑もあり、かなり難航するように思われる。当面はビジネスアナリスト集団が牽引するWfMCの標準化活動に頼るしかないのが実情のようである。

岩田

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