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Archive for 2009年2月

富士通Interstage BPM StudioのBPMNサポートとXPDLを活用したBPMNビジネスプロセスモデル相互交換

2009年2月12日 コメントをどうぞ

弊社、日揮情報ソフトウエアは現在、富士通ソフトウエア事業本部と共同でBPMNベースのビジネスプロセスモデル相互交換機能の開発と実証実験を行っている。富士通のご了承を得たので、その一端を紹介したい。

XPDLが目指すゴールとは?

WfMC(WorkflowManagement Coalition)が標準化したXPDL(XML Process Definition Language)は、ビジネスプロセスモデルの定義情報を格納保管するための標準ファイルフォーマットであるとともに、異なるベンダー間でビジネスプロセスモデルの定義情報を相互交換する目的で開発されている。下図はWfMCが提唱する「プロセス・デザイン・エコシステム」の概念図である。様々なベンダーが提供するBPM関連製品間でビジネスプロセスモデルの可搬性を高め、「WriteOnce and Use Anywhere」を実現し、1ベンダーに束縛されない自由なツール選択を可能にする狙いがある。富士通InterstageBusiness Process Managerは、ビジネスプロセスモデル定義情報の格納保管と他社ツールとのモデル相互交換の両目的でXPDLを採用しているリーディング製品である。


  ProcessDesignEcosystem

ビジネスプロセスモデル相互交換実証モデル

共同開発しているビジネスプロセスモデル相互交換の実証モデルをつぎの図に示す。


   実証モデル2

まず 、Interstage Business Process ManagerStudio(設計ツール)のフロントに弊社取扱いのITPProcess Modelerを配置し、ビジネスサイドはMicrosoftVisioを使ってAs-IsとTo-Beのモデリングを実施する。モデルが確定した後、最新仕様のXPDL2.1ファイルを経由してそのモデル定義情報を実装設計サイドのInterstage BusinessProcess Manager Studioに渡しITエンジニアがEclipse環境下で実装設計を行う。また、実装設計で改変されたモデル定義情報はビジネスサイドの元図に反映しビジネスとITの乖離をなくす。開発最終目標は、このラウンドトリップ・サイクルを実現することにある。現在は、上流から下流へのフォワードエンジニアリングの実証試験を終え、リバースエンジニアリングを検証中である。このラウンドトリップ・サイクルは、双方向の定義情報が欠落しないよう綿密かつ十分な試験を重ねていく必要があり、実証試験が終われば、先の「プロセス・デザイン・エコシステム」のコンセプトを実証した世界初の製品になると考えている。

BPMNサポート範囲の拡大

Interstage Business Process Managerは、人中心(Human-Centric)のビジネスプロセス自動化を守備範囲にしており、BPMNを業務プロセスフロー図の表記標準として採用している。しかし、ビジネスサイドで重要なつぎのBPMN表記が欠落していた。そこで、モデル相互交換機能の開発と並行しこの表記の追加をお願いした経緯がある。

①外部プロセス(プール)とメッセージ交換の表現:(対象プロセス外部とのコミュニケーションの明示)

②入出力帳票、画面に相当するデータオブジェクト:(作業に必要なドキュメントを示唆する)

③注釈:(プロセス設計者の意図やコメントをオペレーションに伝える)

④タイマー中間イベント(時間経過で作業を中断)

①、②、③の表記は人中心(Human-Centric)のビジネスプロセスエンジンに直接作用しない要素であるが業務プロセス設計者が業務オペレーションの担当者に伝えたい事柄である。しかし、ITエンジニアを対象とするBPM製品ではこれらの表記が無視されがちである。現にBPMNのサポート表明をしている多くのBPM製品が未だサポートしていない。なぜ重要かといえば、業務プロセスフロー図は単に設計者のためのデザイン上の道具であるばかりではなく、業務プロセスフロー図を介して現業部門がプロセス実行の進捗状況やパフォーマンスを把握するユーザーの道具でもあるからである。

つぎの図は、ITP Process Modelerの出力結果をXPDL経由でInterstage BusinessProcess Manager Studioに忠実に反映したモデルである。手作業による改変は一切加えていない。

Interstage Business Process Manager Studioの業務プロセスフロー図


  Interstage

ITP Process Modelerでモデリングした元図

 
ITPモデル

富士通だからこそ成し得た2社製品のXPDL連携

私は、約2年前からWfMCが提唱する「プロセス・デザイン・エコシステム」の実現のためXPDLサポートを表明しているいくつかのBPMツールベンダーのXPDL連携を研究している。結果的には実用に耐えうる製品はなく、WfMCの提唱するコンセプトはモデル相互交換に熱意のある2社が共同開発しないと実現できないと考えた。幸いにも富士通にはInterstage Business Process Managerのアーキテクトであり、WfMCの技術委員長を務めるKeithSwensonがバックにいた。弊社はITP ProcessModelerの開発元でXPDLのサポートに積極的なスイスのITP commerceと業務提携関係を持っていた。このリレーションシップが日本、米国、スイスの4社間連携による共同開発を可能したと思っている。ラウンドトリップ・サイクルの実証試験が順調に推移すれば、2009年12月末までには製品提供できると聞いている。積極的に協力してくださった富士通ソフトウエア事業本部の皆様に感謝する次第である。

なお、このXPDL連携の実証デモは、来る2月17日に開催される「プロセス志向イノベーションフォーラム」の弊社展示ブースでご覧いただけます。

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BPM/SOA分野でグローバルな製品開発を目指す富士通

2009年2月9日 コメントをどうぞ

極端なまでの内需依存で海外志向に乏しい日本の産業界に危機感を募らせる声が高まっている。国内でしか通用しない独自仕様の商品、国際競争力の欠如、国内市場縮小から一部の産業では絶滅のおそれ等、ガラパゴス諸島の生物に似ていると言われる。ソフトウエア産業も同様で使い勝手が良く、かゆいところに手が届く国産ソフトウエアでさえ海外では通用していない。

しかし、海外を主戦場に国際標準に準拠したBPM/SOA関連製品の開発・販売している国内メーカーをご存じであろうか?それは富士通なのである。

BPM/SOA分野でグローバルな製品開発を目指す富士通

私はこれまで海外ソフトウエア・ベンダと海外市場を中心にソフトウエア製品をウォッチしてきた。その理由は日本国内に比べより多くの厳しいユーザー要求にもまれ製品が育つ土壌がグローバルマーケットにあると考えているからである。海外製品をウォッチしていて最近気づいたことだが、「富士通はエンタープライズ製品のマーケッティングと製品開発を欧米市場でまず始め、製品を醸成後、国内に展開する欧米先行型の製品開発戦略を展開している」との感想を持った。BPM/SOA関連分野で例を挙げると人中心(Human-Centric)のビジネスプロセス自動化を支援する
Interstage BPM (Business Process Manager)のほか、現状プロセスの問題の定量的分析を支援する
Automated Process DiscoveryとSOA構築に不可欠なビジネスサービス部品の維持管理を支援する
CentraSiteなどがある。

BPMマーケットで認知度の高いInterstageBPM

富士通は1990年代初頭、TeamWARE Flowというワークフロー製品をグローバルに販売していたが、Internet時代の到来により1998年に米国のFujitsu Software Corporation(現FujitsuComputer SystemsCorporation)が中心となって同製品をJava化しi-Flowという製品名で欧米先行型の事業展開をした。2006年にはビジネスプロセスモデリング環境をこれまでの独自表記から業界標準であるBPMNに変更し、EclipseをベースとしたInterstage BPM Studioに一新した。また同年より製品開発を段階的に米国から日本へ移行し、現在は日本を中心に製品開発を行っている。

これまで同製品は世界20ヶ国以上の企業に採用され、ERPパッケージへの組込みやSIパートナーと協調した販売にも取り組んでおり、2005年度から3年連続で前年度売上高比150%超の成長を達成しているという。InterstageBPMの知名度は日本国内より欧米市場方が高いのが実情であり、生い立ちを考えるとまさに海外製品なのである。

米国のコンサル市場で注目されているAutomated ProcessDiscovery

Automated Process Discoveryは、現状プロセス(As-Is)の問題点を定量的に分析する業務プロセス可視化技術を提供するもので、BPMの最上流課題である「解決すべき業務プロセスの発見(Business Process Discovery)」を支援する製品である。BPMを初めて導入する企業は、BPMがBAM (ビジネス・アクティビティ・モニタリング)を通じて提供する業務プロセスの挙動に関わる収集データを当初持っていない。そのため、業務プロセスのボトルネック、改善点の分析は、現業部門担当者へのインタビューを中心とした「感(カン)」に頼っている。しかも、多くの社内労力を費やしコンサルティング会社にも高額な費用を払っている割に、その成果は疑問視されている。

同製品は、既存アプリケーションのデータベース情報や更新ログから「いつ、何が処理されたか」というイベント情報を抽出しそれらをつなぎあわせることにより、 IT化された全ての処理フローを生成。さらにそれらを分析することにより、典型的なフローパターンや例外的なフローの実態を可視化するというユニークな技術を提供する。

次の図は同製品が可視化したフロー図である。


  ProcessDiscovery

同製品は富士通研究所が2007年に「BPM-E(Business Process Management by Evidence)」というコード名で開発し、米国では2008年にAutomated Process Discoveryという製品名でFujitsu ComputerSystemsがコンサルティングサービスのツールとしてビジネス展開(英文紹介PPTのダウンロードはここ)しており、米国の様々なBPM関連コミュニティで話題になっている。国内では、金融業種向け業務可視化ソリューション(サービス商品名:EVOLUO-ProcessEye)として提供済みで、コンサルビジネスを開始しているが、あまり市場で認知されていないのが実情である。

積極的なBPM標準化活動

米国の現Fujitsu Computer Systems Corporationに所属しInterstageBPMのアーキテクト兼テクニカル・エバンジェリストとしてこれらBPM関連製品の開発および市場展開に奔走していたのがKeith Swensonである。彼はワークフロー技術の標準化団体であるWfMC(Workflow ManagementCoalition)の技術委員長を務めるなど、XPDLの標準化に深く関わっており、WfMCを通じてOMGのBPMN標準化にも提言を行っている。

参照: 富士通の標準化活動への取り組み紹介ページ
ソフトウエア・エー・ジーと共同開発したCentraSite

CentraSiteは、SOAに取り組むユーザー企業向けのサービスリポジトリである。同製品はサービスの情報をリポジトリで一元管理することで、ビジネス環境の変化に対して、どのサービスを利用できるか、どこに新しいサービスを追加したら良いか、どのサービスを変更したら良いかを明らかにし、サービスの再利用性促進と新しいサービス開発の中央統制を支援する。企業全体でSOAに取り組むには、その利活用対象となるサービスを企業アセットとして継続的に中央管理し重複したサービス開発を抑制する必要がある(BPMでも同様にビジネスプロセスをリポジトリ化し経営戦略に沿ってプロセス改革を進めるガバナンス機能が必要となっている)。

着目すべきは、富士通が同製品を2005年にソフトウエア・エー・ジーと共同開発したことだろう。サービスリポジトリはベンダー製品にロックインされないオープンなソリューションが望まれる。同製品はサービス定義コンテンツのアップロード/ダウンロードにUDDIWebDAVを標準プロトコルとして採用し開かれたインターフェイスを提供している。またPlug-Inの開発促進のためにCentraSiteCommunityを立ち上げ、パートナーコミュニティをも形成しており、企業枠を超えた製品開発を推進している。

日本国内のBPM/SOA市場を牽引できる可能性を秘めている富士通

以上のように海外市場で積極展開している富士通だが、日本国内市場では外資系ソフトウエアメーカーに遅れを取っていることは否めない。しかし、日本国内の外資系ソフトウエアメーカーといえどBPM/SOA市場では苦戦をしいられているのが実情のようだ。プロセス志向でユーザー企業の業務改革に切り込んでいける人材の不足とBPMに対するSIerの関心の低さがこの背景にあり、国内の外資系ソフトウエアメーカーが得意とするパートナー主体の間接販売モデルでは、BPMは浸透しないと考えている。

富士通の野副州旦社長は、ITmediaの新春インタビューで「金融危機に見舞われたものの、グローバル化を軸にしながら、「顧客の顧客」(つまり情報システム部門の背後にいる現業部門だろう?)のニーズに注目して事業を展開する」と2009年の展望を述べられている。30社に及ぶ国内SE子会社を擁し約22,000名のSE集団を形成する富士通グループがこれらの製品を武器にユーザー企業のビジネスプロセス改革現場に根差した日本型のサービス支援体制を築かれれば、ユーザー企業から大いなる賛同が得られることは確実だ。