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Archive for 2008年4月

BPMN-to-BPELにおける課題:第1回

2008年4月15日 1件のコメント

つい最近のことですが、BPMNとBPELの連携についてWebで大討論会が繰り広げられていました。WilliamVambenepe氏の
ブログ
にKeithSwenson氏が
ブログ
でコメントし、そのコメントにBruce Silver氏がブログ(
その1

その2)でコメントしたものです。しかもそれぞれのブログに多くの人がコメントを寄せており、全てに目を通すのはかなり大変ですが、BPMNとBPELの連携における様々な課題や方向性が見えてきます。

まずは、これら討論の背景として
BPMNはビジネスプロセス管理において最重要な標準という前提がある、ということを認識する必要があります。コメントを寄せている人の中にはそれを否定している人もいますが、ITの視点ではなく本来あるべきビジネスの視点で考えるとBPEL以上にBPMNが重要だということです。

BPMNありきで考えると、討論されている課題が解決するまでは、BPMNで描いたモデルをBPELに変換せずに実行するエンジンを選択するという方向性もありますが、大手ベンダのBPELエンジンが選択されるケースが多いことも考えると、BPMNをBPELに変換するツールがどこまで課題に対応できているかをしっかりと評価して実用的なツールを選択する必要もあります。そのためにも課題を理解しておくことが大切だと思います。

そこで、何回かに分けて、討論されている課題について補足する情報を交えて紹介していきたいと思います。

その第1回は、BPMNからBPELへの変換の難しさを知ることから…。BruceSilver氏のブログで紹介されている2つのケースから見ていきましょう(※これらのケースはBPMN仕様書においてもBPELへの変換の仕方として明記されている内容です)。

1. “Interleaved” flows (交互的フロー)

これはグラフ構造のBPMNとブロック構造のBPELという構造の違いがあるために変換が難しくなるケースです。グラフ構造では矢印を使ってアクティビティを自由につなぐことができますが、ブロック構造では入れ子構造が基本となるためアクティビティの接続が限定的になります。

次の図で、上がBPMNで素直に描いたフロー、下がそれをBPEL的・ブロック構造的にBPMNで描いたフローです。BPMNからBPELを生成するためには上から下への変換が必要で、図の「C(コピー)」のようにアクティビティの複写が必要になります。

Interleaved flows

ここで留意すべきは、BPELはブロック構造だけでなくグラフ構造でも記述できるという点です(その詳細は
BPMNからBPELを生成する『BPEL エクスポート機能』 というホワイトペーパーの4ページ目で説明していますので、そちらを参照してください)。

それにもかかわらずブロック構造で議論されている理由は、グラフ構造のBPELが実行できるのはIBM WebSphereProcess Serverしか知らないというBruce Silver氏のコメントから明らかだと思います(確か、IBMのそれはブロック構造でも実行できる優れものだったと思いますが…)。

※もしも、グラフ構造のBPELを実行できるエンジンを他に知っている方がいれば是非ともコメント欄に情報をください。

2. Attached events (アクティビティの境界に配置されたイベント、例外フロー)

これは、例外処理を実行した後に進む箇所が、イベントを捕捉して処理を中断する範囲を表す<scope>~</scope>の直後だけ、というBPELの限定が起因となるものです。BPMNでは例外処理を実行した後、自由な箇所に矢印をつなぐことができます。

次の図では、「D」が例外処理、そして上がBPMNで素直に描いたフロー、下がそれをBPEL的・ブロック構造的にBPMNで描いたフローです。今度はゲートウェイ(BPELでは<switch>)を追加する必要があります。

Attached events

以上のようなケースを見ると、BPMNからBPELへの変換の複雑さが分かるとともに、BPELの振る舞い(図における下)をシンプルに分かりやすく可視化(図における上)できるというBPMNの長所も実感できます。

なお、実はこの2つよりもっと複雑な変換をするものも知っています。それはBPMNのマルチインスタンスアクティビティです。

変換の詳細を知りたい方は、UMTPのWebサイトでダウンロードできる
ローレベルBPMNパターンの46ページを見てください。

(つづく)

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BPMN 1.2 Beta 3 が公開されました

2008年4月10日 コメントをどうぞ

OMGから『BPMN1.2 (Beta 3)』が公開されました。

資料の日付は2008年2月7日ですが、定期的にチェックしていたので公開されたのはたぶん最近のことだと思います。

“change bar” 付きもあり、変更点を確認しやすいので早速ざっとながめてみましたが、変更箇所はほんの少し。”誤記の修正” という感じです。

変更点をまとめた資料を作る必要はなさそうです。

BPM海外レポート:BPMプロジェクトが短期である理由(その1)

2008年4月8日 コメントをどうぞ

プロセステンプレートとビジネスフレームワーク:

BPM専業ベンダの中でLombardiとPegasystemsは、ツールのほか、業務プロセスのひな型であるテンプレートを商品として提供している。Lombardiは、ツールをTeamworks、テンプレートをBuleprintという商品名で販売している。商品であるだけにその内容は充実している。テンプレートの構成は、業務プロセスを可視化したワークフロー図だけではなく、想定する業務および作業の説明文書(業務シナリオ)、フォーム(人間との相互作業で必要なヒューマンインターフェイスの画面)の定義の3要素からなっている。

ITを利用したサービス統合部はブラックボックスとなっているが、そのサービス統合部の前後の人間系ワークフローは、そのテンプレートから実行可能なアプリケーションを生成できる具体性を持っており、ユーザはそのテンプレートをもとにフィット&ギャップ分析を行って自社の業務プロセスに改変できるようなっている。

Pegasystemsもビジネスフレームワーク(Business Frameworks)という名称で同様のソリューションを提供している。両社ともテンプレート化されている業界分野は、銀行、保険、ヘルスケアに集中している。

プロセステンプレートで重要なデータの裏付け:

プロセステンプレートと言うと、ワークフローを可視化したプロセスフローダイアグラムのカタログ集のイメージが強い。しかし、人間が関与する作業を具体的に明示するにはデータの定義が合わせて必要になる。先のようにBPMの実装ツールベンダが提供しているテンプレートは、実装のための型紙と言えよう。人間と機械のヒューマンインターフェイス仕様であるフォーム(画面)を定義し、人間の作業(ヒューマンアクティビティ)に関連付け、どの役割が、どの作業で、どのデータを参照または入力しているのか具体的に例示しており、プロセスの裏で流れるデータ(あるいはトランザクション)仕様をテンプレートに包含させている。

海外のBPM適用事例でBPMプロジェクト期間が3~4か月と短期である理由のひとつにこれらのテンプレートが効果をもたらしているのだろう。

残念ながら弊社がWeb公開しているBPMN業務フローテンプレートは、先のテンプレート3要素のうち、業務シナリオとフォーム定義が欠けており、ワークフローサンプル図の域を脱していない。

カテゴリー:BPM

ブルース・シルバーSAP向けBPMNトレーニングを開始

2008年4月3日 コメントをどうぞ

BPMessentials.comでBPMNオンライントレーニングを提供しているブルース・シルバー氏は、SAPのBusiness Process Expert (BPX) コミュニティ向けにeラーニングプログラムを提供開始した。

先の米国事例で紹介したようにフロントエンドの手作業をBPMを使って自動化するSAPユーザ企業が増えているようだ。

BPMプラクティショナーという新職業

2008年4月2日 コメントをどうぞ

BPMプラクティショナーとはBPMを進める企業に対する水先案内人、開業医のことである。

BPMessentials.comでBPMNオンライントレーニングを提供しているブルース・シルバー氏いわく:

  • “Practitioners” should start learning BPMN using the core set – start, task, gateway, end, that’s it – and leave the other “more specialized” constructs to those who need special training.  (In my BPMN classes, business people are totally offended by the suggestion that they can’t understand events and other “specialized” constructs.)

プラクティショナー(Practitioner)を辞書で引くと「実践している人、実行者、熟練家、練習生、施術者、開業医、弁護士」とある。ちなみにグーグルで”BPM Practitioner” を検索すると567件の英語ベージがヒットした。”BPM Consultant”で検索すると31,400件がヒットするが、ほとんどがベンダの人材募集キーワードに使われている。

BPMのコミュニティでは、企業の事業戦略をサポートする専門家をビジネスコンサルタントまたはビジネスアナリストという言葉で呼び、プラクティショナーという職種と分けて論じていることが多い。これはコンサルタントが実行者でなく助言者的な意味合いがあることに起因するのかも知れない。ビジネスとITを結ぶBPMスペシャリストは助言者ではなく実践者であるのでBPMプラクティショナーと呼ぶことが多くなっている。ソリューションベンダがBPMの領域で未だにコンサルタント呼称を多用する背景には、人材を高値で売りたい気持なあることと、BPMが必要としているこれまでにない新しい職能要件に気づいていないのかも知れない。

日本国内ではITコーディネータがこの「BPMプラクティショナー」に最も近い存在かも知れないが、BPMを真に理解している方は未だ少数のようだ。

カテゴリー:BPM

ビジネスとITの新しい成長エリア:The IT Flower

2008年4月1日 コメントをどうぞ

ハーバード・ビジネス・スクールのアンドリュー・マカフィー教授が提唱している“Enterprise 2.0”の概念をITの花に例え今後成長が期待される領域を分かりやすく解説したビデオ(英語)「The IT Flower」を紹介したい。これはRod Boothby氏が主宰するinnovationCreators.comで提供されている。

ITという花の成長過程を作業の形態(Types of Work)と作業の進め方(How Work Gets Done)のXY軸で表現している。現在、Structured ProcessのTransactional領域にあるSOA、SaaSにITの注目が集まっているが、将来はAd-Hoc ProcessのKnowledge Work領域へとフォーカスが移っていくことを示している。

これまでのBPM海外レポートのとおり、BPMの世界でもEnterprise 2.0的な取り組みが始まっている。

カテゴリー:BPM