フランスのBonitaSoft社は、“Bonita Open Solution”という名称でプロセス・モデリングツール、BPMN実行エンジン、ユーザーインターフェイス開発などのBPM Suite一式をオープンソース(GNU General Public License v2)で提供している。
創業者は、BPMが将来企業ITポートフォリオの主力になると確信し、2009年にBonita Projectを立ち上げ、ソリューション開発に着手した経緯がある。社名、ソリューション名の双方にスペイン語、ポルトガル語のBonita(ボニータ:かわいい娘)を使って覚えやすくしている。
“Bonita Open Solution”は、無償のOpen Source Editionと有償提供のSubscription Packsがあり、Subscription Pack Editionを購入すれば、テクニカルサポートや拡張ツールセットが提供されるビジネスモデルになっている。有償であれば、本格的なBPMアプリケーションも開発、実行できるようだ。Subscription Packsは、Teamwork, Effiency, Performanceの3つのEditionから構成されている(それぞれのEditionの機能範囲はここ)。ハイクラスのEditionではSalesForce.comやSAPとのコネクタを開発できるウィザードも用意されている。
InfoWorldは本年9月8日、優れたオープンソースを4カテゴリから選ぶオープンソース賞「Best of Open Source Software(Bossies)」受賞プロジェクトを発表した。その中で同製品は「アプリケーション」カテゴリのビジネスプロセス管理ソフトウエアで受賞している。(http://sourceforge.jp/magazine/11/09/08/0356201)
ユーザー事例には、コニカミノルタのフランス支社(従業員約1000名、カラー印刷機、ヨーロッパ売上290億円)の営業プロセス適用事例が紹介されている。同社は、70名の社員が従事している契約管理(月間あたり2000件の新規契約または更新)に適用し、請求書のデータ入力から販売シュミレーション、製品仕様構成の分析に至る日常業務を最適化したという。その他、約30社のユーザー事例が紹介されており、部門レベルの業務最適化に多く利用されているようだ。
開発向けのUIは、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、中国語に翻訳され、ユーザー向けのWebアプリケーションUIは、そのほか7ヶ国語が追加翻訳されている。この点、日本の立ち遅れが現れている。日本語翻訳のボランティアが現れてくれれば、日本国内中小企業にも廉価なBPMソリューションが提供できるだろう。
着目点
私が着目している機能は、BPMN 2.0の実行可能モデルを設計し、BPMN 2.0実行エンジンに実装できることだ。タイマーイベント、例外イベント、シグナルイベントなどを使ったイベント駆動プロセスを実行でき、先端を行くOracle BPMS 11gにも引けを取らず、もはやBPELは必要としていない。また、BPMN 2.0で新たに規定されたビジネスプロセス・モデル交換フォーマット(BPMN-DI: Diagram Interchange)を使ってサードパーティのBPMNモデリングツールとのモデル交換も実現している点だ。実際にBPMN 2.0をサポートしているビジネスプロセス・モデリング・ツールからBonita Studio 5.6へモデル移行を試みたが、何も手を加えることなく、オリジナル表現でプロセス図を移動できることを確認した。
使用感
ダウンロードしてWindows7で試してみたが、動作環境、サーバー設定の煩わしい作業は一切なく、ダウンロード後、添付のサンプル・アプリケーション・ソースを即、配備・実行できた。この快適な使用感には、すこぶる驚かされた。英語版での日本語処理は問題ないようだ。データを定義しながらSimple Web Forms Editorを使ってユーザーインターフェイス画面を生成できるので、上流で分析・設計したプロセスモデルをこのツールに移行し、サンプルデータを入出力しながらプロセスの流れを追ってデータの参照・確定手順をウオークスルーするプロトタイプ検証ツールには最適と考えている。この程度の利用なら無償でできることも魅力的だ。
IBM developerWorksでも昨年10月に2回連載で同製品のチュートリアルを丁寧な日本語訳で紹介している。
第 1 回 単純なワークフローを構成する
第 2 回 フォームと変数を構成する
BPMN 2.0ビジネスプロセス・モデル交換を試してみる
私が愛用しているProcess Modeler 5 for Microsoft Visio BPMN 2.0仕様サポート最新版(SR6)でモデリングしたプロセス図(図1)をBPMN 2.0 XMLフォーマット(図2)で保存しテストする。
図1: テストに使用したBPMN 2.0仕様のサンプル・プロセス図

図2: BPMN 2.0 XMLファイルのエクスポート

Bonita Studioのインポート・メニュー(図3)を使ってBPMN 2.0 XMLファイルをインポートした。
BPMN未対応のモデリングツールからは、XPDL 1.0形式でインポートできるようだ。
図3: Bonita Studioのインポートメニュー

インポートした結果は、ご覧のとおり。何ら手を加えることなく、オリジナルプロセス図の外観が伝承される。
BPM実行エンジンでサポートできていないBPMN 2.0要素も一目瞭然で分かる。
BPMN 2.0のエクスポート機能はサポートしていないので、ラウンドトリップ・エンジニアリングは行えない。BPMNの設計プロセス実装を目的としているので上流から下流への単方向で十分だ。また、これは他のBPM実行エンジンへの乗り換え防止のロックでもある。
図4: インポートされたBPMNサンプル・プロセス図

以前、本プログで紹介した「Oracle BPMのBPMN 2.0プロセスモデル交換の実力」と見比べていただければ、BPMN-DI(Diagram Interchange)ファイル形式のモデル交換の方が優れていることがご理解いただけると思う。これでビジネスプロセスのモデル交換はBPMN-DIが主流になることが実証されたといえる。
BonitaSoft社に関する市場調査レポート:
http://www.gii.co.jp/report/ov166528-bonitasoft.html