Oracle BPMのBPMN 2.0プロセスモデル交換の実力
本年1月に公開されたOracle BPM 11gR1 SP3をインストールし、 BPMN 2.0プロセスモデルの交換能力を検証してみた。
プロセス・モデル交換の標準化の動き
異なるBPM製品間のプロセスモデル交換は、「モデリング・ツールやビジネス・プロセス・ランタイム・エンジンの選択が制限される」という問題を改善すべく、上流のプロセス・アナリストから強く求められていた。
これまでは、国際標準化団体のWfMC(Workflow Management Coalition)が開発したXPDL(XML Process Definition Language)が、唯一のプロセス・モデル交換形式だったが、XPDLは、BPMNだけでなく、そのほかのモデルも対象にするため、形式も複雑で、サポートするツールも限られていた。BPMN 2.0では、プロセス・モデルの交換仕様として、BPMN DI(Diagram Interchange)仕様を定めた。このモデル交換形式は、BPMNメタモデルをベースにしたXMLファイルを採用しており、BPMN 2.0をサポートするツール間で使うことが前提である。
本年1月にOMGのWebサイトでやっとこの交換仕様を含むBPMN 2.0仕様が公式リリース(仕様書の参照先はここ)された。水面下では同モデル交換仕様の製品実装が各ベンダーで既に始まっており、年内には実証製品が登場すると思われる。
Oracleのプロセス・モデル交換ソリューション
Oracle社はOMGのBPMN DI仕様のサポートに先立ち、”Oracle Business Process Converter(OBPC)”というBPMN 2.0プロセスモデル交換機能をSP3リリースで公開した。同OBPCは、現在のところVisio、およびXPDLのXMLファイルに出力したプロセスモデルをOracle BPMおよびOracle BPA(Business Process Architect)にインポートできるようだ。
OTN – Oracle Business Process Converterのダウンロードサイトから入手した資料によれば、図1の赤い矢線で示す5方向のモデル交換可能になっている。
図1. OBPCがサポートするモデル・インポート/エクスポート機能構成
図1の上位にあるOracle BPAは、Oracle BPMが取り扱うプロセス・フローの上位階層にあたるエンタープライズ・レベルのプロセス・モデル開発と管理をサポートする。同製品は元々ARISのOEM製品であったが、最近ではEPCダイアグラムのほかBPMN 2.0のプロセス・フロー図もサポートしている。
中段にある”Tutor Author 14”は、ユニークなBPMN文書化機能で、BPMNに表記したプロセス定義をMicrosoft Wordに変換し、BPMNが読めないビジネス担当者でも文書形式でレビューできる。文末の図6にそのアウトプット例を示す。
Visioは、通常のvsd拡張子ファイルではなく、vsx拡張子(XML図面)ファイルでアウトプットしておく必要がある。
XPDLは現在、次のBPM製品のマッピングが事前設定されている。
• Provision
• Bizagi
• Tibco
ためしてガッテン
私が愛用しているProcess Modeler for Microsoft Visioでモデリングした図2のBPMNプロセス図をもとに図1の①と②を変換パスを試してみた。
図2. Visioで作成したBPMNプロセス図
図3は、インポート完了後に表示されたOracle BPM側のBPMNプロセス図である。元図作成に使用したProcess Modeler for Microsoft VisioのBPMN要素ステンシルは、このConverterに事前設定されているようで、図形要素のマッピングを行わなくても変換可能だった。Converterのリリースは初版であったため、パラレル・ゲートウェイの変換に一部問題が存在していた(これは開発元にレポートする予定)。各図形要素を元図と同じ位置に配置してくれるので再配置の手間がなく非常に助かる。
図3. Oracle BPM Studioにインポートされたプロセスモデル
元図ではせっかく、ヒューマンタスク、ビジネスルールタスク、サービスタスクなど各タスクのタイプを設定していたのだが、インポート時にその情報が失われたのは残念。
Oracle BPM側で図4のようにタスクタイプを再割当てし、シーケンスフローの経路を再配置した結果が図5である。
図4. タスクタイプの割当て
インポートを開始してからおおよそ5分で図5が完成した。元図よりカラフルで美しいかも知れない。
図5. 編集を完了したプロセス図
図5の完成後、”Export to Oracle Tutor”を実行すると図6のMS Word文書が得られた。
この文書には、作業の分担、役割ごとのやるべき作業、作業の着手順番と実行条件などが記述されている。今リリースは日本語版でないためシステムメッセージは英語になっている。
図6. Tutor Author 14のアウトプット
考察
以上の検証から、Oracle BPMのBPMN 2.0プロセスモデル交換は、実用レベルに達していると私なりに評価した。今後、BPMN DI(Diagram Interchange)仕様のプロセスモデル交換もサポートされれば、片方向(サードパーティ→Oracle製品)だけでなく、双方向の交換も可能と思われ製品の進化を期待したい。

